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冬のライオン [舞台]

これを見逃したらアカンのやろなと、行って参りました。
昔より思ったより近かった東京。
海外どころか何処にも行けなくなりかねないこの世情です。
今生最後の贅沢になる可能性とて拭えますまい。

しかし今このタイミングでスマホがQRコードを読み取らなくなってしまってる、という。
近くだけがダメになるって老眼か?
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遠くは写せるのにー。
替え時か修理?けどダウンロードしたアレコレも同時に喪失だし
…パスワードめんどい。

やっぱ年ふるごとに人も物も我慢弱くなる。
不老不死で完走なんて出来やしない、ということを大半の時間
私も含めた、すべての生き物は忘れてるから生きて居られるのよな。
自分は人間という選ばれた特別な生き物、ではなく、
ありふれた人間という"獣"なのだ。


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本当はWEBアンケートサイトに無記名で送りたかったのに。

ヘンリーといえば「アグリー・ベティ」の元彼も妻子持ちのくせして
しつこかったなあ。
まあ大きい声では言えませんか、経験者曰く男の子は繊細であきらめが早い(同感)。
ですがおっさんになると?「粘りよんねん」!!
そのねちょっとしたニュアンスがキモ可笑しく、記憶にこびり付いてたのを今思い出した。

演技が良かった証拠ですとも。
佐々木さんが演じらると、醜悪なはずのヘンリーから清々しさまで感じられて
実に素晴らしかった。
本当は良い人と感じさせる人柄だからこその味わい。
昨年の舞台とは別人で、よりブレのないお仕事振りを本当に観られて嬉しいです。
言うなれば全集中の呼吸が身についた、そういう顔が見たかったんです。満足しました。
もうこれきりでいいくらい大満足♪
こんなにいい顔に観えるということは、役者はしんどければしんどいほど、輝きを増すというアレかもですが、
男は結婚直後が一番モテるという輝きもマシマシと思われます。
見えなくても、誰かと手を繋ぎながらでも、変わらず手を振ります。


さて、観劇後に思い返したときが、この作品の本領発揮です。
さすが森新太郎演出、そう来たか。
笑うしかないほど酷い現実を笑い飛ばして進めと。

戯曲というフィクションの中でエレノアはボロボロで結局本当の事ばかりを言ってました。
相手の受け方でウソに見えたり、当てつけに見えたり、楽しんでるようにすら。
登場人物のあれもこれも全部、誰もが一度は頭を過ぎっては打ち消したり、思い直したり、
今この瞬間に抱えていたりする事なのだ。

愛の原形は剋すること、とはいうものの…ぶっちゃけヘンリーの行いは好きな子にイケズする小学生やーん!
大人がやらかすから余計、セレブは許されてええもんと惑わされて質が悪い。
愛は誰にとっても克すること。

自分ちの問題すら解決しようとしてない人が集まって出来てる国家なら、そりゃ起きるよ戦争。
けどきっと、森さんはその不可能に我々は挑戦すべきではないのか?と
語らないことで語ってらっしゃる。

それらの表現をしつこくしつこく徹底的に噛んで含めて言い聞かせて舞台を育て上げた…
森さん凄い!白井さんはアルトゥロでこういう空気づくりを目指してらした気がする。

まさに今、このコロナ渦でゆとりを失くしたこの星のあちこちで
世界的に起こっている二次災害、完全なる人災のことが浮かんだ。
これは医療従事者の次にやっと、ひっ迫が問題になり始めた市役所などの
ライフケア従事者にも捧げられているのでは。
ストレス解消にスターの個人情報漏えいとかも、やらかしかねんよな。
ずっと居たのに向き合って貰えてなかった"ジェフリー"に辛いよね、と話しかけるような、
せつないエールにみえてくる。
こんな家族に赤の他人が首つっこまなきゃなんないなんて怖いよ。
あの調子で反撃されたりに毎日巻き込まれる…て疲弊どころじゃ済まん。
プランタジネット家はまるで勝つことだけが最優先の勝負師集団・幸田家(3月の)ですね。
確かに桐山はそこで鍛えられたけどちゃんと卒業した。なんて悪趣味な。
こういうドロドロした作品にも積極的に挑んでいくという表明でもあるのでしょう。

しかし、リチャードの「アーアーアー!」も生き写しやったけど、
ジェフリーの「ジョン!」は必聴。
もうあのニュアンスで無機質なフォントまでもが「ジョン!」と跳ねてるように見える。
いつでもどこでも、本当は一番かしこい子が我慢強いと思ってる。
我慢強い良い子が犠牲になってしまうようでは、良い子になりたがる子は
死に絶えます。

そして浅利くん演ずるジョンは、やっぱしジョンに似てましたね〜。
あ〜「ひとよ」でもジョンぽかった。
あの衣装とか髪型とか、ブレイク前夜のジョンそっくりでした。
恐らく彼もヨーコというエレノアから森さん並みに躾けられて名曲を書けたのでしょう。

エレノアとアレー、役に持ち出しの美しさや愛らしさを惜しみなく注いで、
強かで一途な女主人二人ともが、がっちり戦局を握っててさすがでした。
ある意味二人がかりで男たち一人残らず袋叩きにしてません?(笑)
事件は現場で起きているし、戦争は家庭で煽ってる。
セレブも庶民も足りないものばかり、有り物で日々を賄うしかない。
家庭ある女たちよ、男たちをどやしつけて戦場から温かい家に帰らせて。
はよ帰らんとメシ抜きやで!てな。
面倒掛けるが頼むわホンマ。

帰る前、当然渋谷に「明日の神話」を観に行った。
かなり長時間さまよったが結局見つからなかった。
ナビ立ち上げても「到着しました」。
どこが?
工事中?やったんやろか。
着きました、て断言されても行き止まり。
あの絵には因縁があるので、もういいよ、という太郎さんのお図らいかもな。鮮やかな一手かも。
あの絵の中に入っていたのか(世にも奇妙な物語風に)。
どうかこの世界まるごとが、あの神話の中ではありませんように。

追記:ちなみにたった一箇所だけヘンリーがブレた場面があった。素人が気付くほどだから、あそこ絶対森さんにダメ出し食らったハズ!
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