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アンディとレッド【1】

先日の舞台「ショーシャンクの空に」を観劇していて、男子寮生活を
想像してしまったのですが、私は女子校で、イジメとかのバイオレンスと
遠い3年間を過ごしました。
その生活しか知らなかったので、年月を重ねて同級生との再会で思い出話を
繰り返すうちに、生徒の全員が3年間平和だった訳ではないことが判明して驚きました。
「えっ?私ずっと高校生って大人なんやな~と思ってた」
「うん、ウチのクラスは大人やった!けど他所はイケズの嵐吹き荒れとったで」
ええ~~?!これ井の中の蛙ってやつ?

いったい何が違ったのか?とこの度振り返ってみて気付きました。
私の行く先々に、アンディ・デュフレーンのような人物が居たことに。

不思議な少年(1) (モーニング KC)
時代を替え姿を変えて現れる「不思議な少年」のように。
特に1年生の時のクラスメイトはアンディそのものだった。
(女子高生ですけどね。)
別のグループやったんで、今どうしているか知る術もない。
だから余計にその思い出が美化されてても何卒ご容赦を。
おばちゃんかて女子高生やったしな~♪

アンディは自己紹介で「私は幼馴染のレッドと一緒に居たくてこの学校来た」と言った。
そんな理由で将来に係わる大事な選択を?と衝撃だった。

アンディは芦名星さん似の美貌とクラスで1位の頭脳を備えていた。
対してレッドは普通で学力はクラスでも下の方だった。
京都の女子校生って腹黒いから顔見ただけでスペック測れてまうのよー。
なんでこの二人がそこまで結び合ったのか?

理由はすぐに判明した。
アンディは生まれつきの持病のため、定期的に人工透析を受けていた。
自らの体という檻に収監されていたのだ。
天は二物を与えずというが、この分配は残酷だった。
アンディはもっとレベルの高い学校に進むとか上を目指せる才を与えられながら、
自らの体にそのチャンスを摘み取られていた。飛び飛びでしか学校に通えなかった。
もうアンディに比べたら私なんて普通。体弱いなんて言うたら罰が当たる!
そしてレッドは幼い頃から彼女と「本当の友達」で在り続けていたのだった。

一見すると二人の関係は優れたアンディに依存する平凡なレッドのように映りそうだが、
レッドは『対等』にアンディと向き合っていた。
それは長年の付き合いで培われたものだと思うのだけれど、レッドはアンディの病もまるごと
個性として受け入れ、「数学が苦手」とか「ほくろが多い」程度のウイークポイント扱いだった。
何より素晴らしかったのは、まばゆいばかりのアンディの素養にひがみを感じて媚びることもなく、
アンディの病に同情もしてなかったから、過剰な世話を焼いてなかった!
この、成績のように数値化されないホスピタリティこそが、アンディが惹かれたレッドの才能だった。
更にアンディもまた、レッドに依存していなかった。

奇跡の共存関係、最強のコンビだ。

けど、そんなん説明せんでも、二人の佇まいには凄い説得力があった。
本当に美しかったから。
二人の在り方は素晴らしいハーモニーとなって教室全体に満ち、
クラスメイト全員のホスピタリティと品格を引き上げた。
見習うとはまさにこれ。人はやはり上等なものに触れる体験をするべきだ。

それがどれほどアンディの心身を支え、循環器を患う彼女には猛毒の『ストレス』を退けたことか。
これまでの全ての日々が平穏であったはずがない。
長い歳月を掛けて二人でそこまで育ち上がったのだ。
レッドはまさしくアンディの千歳の岩だった。
二人で居れば、そこはどこでもシワタネホに変わったんやと思う。

健全な肉体にしか健全な精神が宿らないとは限らない。
アンディは弱い体を磨き抜いた強靭な心で支えていた。
しかし、人生は不条理だ。
アンディは学期の途中で入院という独居房に収監され、レッドから引き離された。

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