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ぐるりのこと

薄暗がりの中ふと目覚めると、
祀ってある、とある神社で毎年頂いてる御札の周りに
黒い霧が。

起立性貧血を起した時こういうモノが見えるので、それか?と
別の壁に視線をずらすと、そこにはない。
御札に視線を戻すと、ある。←寝てんねんから起立性貧血な訳がない

あっちのもんか。
久々に見たなー。小学校以来かな。

まあ、悪いもんなら御札に近寄れへんはずやから大丈夫やろ、
と寝直して、朝には跡形もない。

ちょうどこれを読んでる最中やったから、久しぶりに境界が揺らいだのかもしれない。
見たからといって今まで何か起こった試しはないので、心配してない。
もし何か起こったとしても「注意しろ、って教えてくれてんな」と思えばいい。

ぐるりのこと (新潮文庫)


どんな相手でも、一人の人間として受けとめようとする努力を、
放棄するわけにはいかない。(『群れの境界から』)




最近ちまたを賑わせている事件の事を思った。
著者のいう「反射」のように自他との境界が行き来できるようになるには、
やはり、受け入れることに慣れておく必要があると思う。
役者が死ぬほど台詞を返して、反射的にそう在れるよう、演技を極めていくように。
その行為はまさしく、役を血の通った一人の人間として受けとめようとする努力だ。

人生に台本はない。
ので、私はただただ「受けとめようとする努力を放棄しない」とだけ返してきた。
それが「反射」となるように…と言いたいところだが、ぶっちゃけこの世の全て、
人も動物も空も大地も擬人化してたから、徐々に慣らされていっただけ。
素晴らしい作家の方々が、信じ込まずにいられない児童書を書いて下さったお陰です。

そして、物語に前のめりになる気性は先祖から与えられた遺伝子であり、
それこそが著者の夢見る「反射」を可能にするDNAの正体なのではと思う。
それは程度の差こそあれ、誰の中にも眠っている、としか私には思えない。
だって、どんな相手でも、一人の人間なんやしさ。

昔、教育実習中に、騒ぎを起した中三の生徒が教師を殴りそうになった時、
彼らは私の実にふざけた言葉で冷静さを取り戻し、大人しく捕まった。
私の言葉が届いたのはきっと、
「親に絵本なんて読んでもらったことがない」と言う彼らに、ならばと、
飛び切りの名作の読み聞かせをやっていたからに違いないと思っている。
中坊に絵本の読み聞かせ。めっちゃ食い付きが良かった。

物語の力が、詠み手の私を彼らに受け入れ易い対象へと変えた。
生身の人間の語る物語は、相手を受けとめようとする努力を楽しみに変えるんや、きっと。
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むーぽ

大抵の過去を名前含め見事に忘れてきている容量不足な脳細胞を持つ自分ですが
一番記憶に残っている小学3年生のときの担任は
よく物語を読み聞かせしてくれました。
凄く嬉しい時間だったし、いろいろやる気も出て、人生で一度だけオール5取ったことがあります。
3クラスしかない学校だったし
評価方法が今と違ってたし
きっと学力実態とは違うのですが、それだけやる気にさせてくれた先生だったという証拠です。

中学に入り11クラスに増えた途端、
トップグループに入ることは難関になり塾通いの人たちの前倒しに勉強している凄さに圧倒され
平凡な自分を悟り今にいたりました(笑)

カリコさんの眼力はそんな黒いものも見えるんですね~
(@ ̄□ ̄@;)!!
by むーぽ (2012-07-24 08:53) 

カリコ

素敵な先生に出会われていたんですね♪

やはり、物語は人をやる気にさせたり、信頼感を高めたりと、
人生を豊かにするだけでなく、無用なトラブルを防いだりもする、
という思いを新たにしました。

だって私達も佐々木の兄さんの演じた物語で繋がって、
「ええよね!あれのあそこがめっちゃ良かった!」って
語り合うだけでウキウキして、既にケンカするチャンス自体を
失っています(笑)

眼力はど近眼なんで、あんましアテになりませんねんけど、
まあ夏場やし、こういうのもアリかなと(苦)
by カリコ (2012-07-25 00:47) 

おーちゃん

絵本の力ってほんまにスゴイと思う!あの、私の言うことを一つも
聞きやがらへん果澄が、その時だけは、静かに聞いてるもんな~(苦笑)

かく言う私は、弟に読んでやったりしたこともあるけど、母親に
絵本など読んでもらったことがない!・・・故の過去とその結果を
見れば、これまたすんごい納得やん?どうりで不信感募るはずや(笑)

今、話題になってる子供たちって結局は、想像力の欠如やったり
するんやろうと思うけど、どこで道を誤まるんやろうかと。。。
色んな意味で考えさせられるわ。

あ、黒いのって私も見たことあるような気がするけど、私のは霧じゃなく
ネコの形しとったで?(笑)一晩中、目を開ければそこにいたけど、
不思議と悪意も何も感じることなく夜が明けた。
もう久しくそういうのは、見てないけどね。
by おーちゃん (2012-07-25 01:44) 

カリコ

おお、あの果澄さんすらも黙らせる絵本のチカラ!!

でも賞賛すべきは、読んでもらわんでもグレんと「読んであげられる親」に
成長したおーちゃんの感性の豊かさと健やかさや。
やっぱ只者やないで!

私もなー絵本は読んでもろたことない。
けどな、絵本ではなく就学児童向けの短編「ごんぎつね」を指定して、
毎晩読んでもらっててん。
字ばっかしやし、漢字も入ってるしで、
これはもう、親が読んでやるしかないという(笑)
祖父が仕組んだんちゃうかって気がすんねんけどな。
形見分けで祖父の蔵書を見た時、1冊だけ童話の文庫本があって、
それが「ごんぎつね」やった。

やっぱり、おーちゃんも見たことあったか!>黒いの
ネコ好きにネコの形で現われるって、
そら悪意あらへんよなあ~(笑)
by カリコ (2012-07-25 21:21) 

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