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通じないことも面白い

朝ドラのエリーちゃん見てると、英会話力は伸びんかったけど、
異文化交流の面白さを最初に私に教えてくれた英会話の先生を思い出す。

私が事故で1ヶ月ほど入院して教室を休まなければならなくなったとき、
毎週お見舞いに来てくださった。
先生はまったく日本語が話せない人で、にも関わらず、退屈だろうからと
必ず新聞を差し入れて下さった。

1週目、にこやかに差し出されたそれはスポーツ新聞やった。
…おっさんの新聞やん!
「私は日本語がわからないから」という先生に、「ディス イズ メンズオンリー」と説明した。
モノカラー イズ グット!(地味な色のにして!)と。

2週目、普通の新聞を持って来てくれた。やった!
「イエス!グッド!」
けど先生は「海外の新聞はもっとカラフルだから、日本の新聞は全然面白そうじゃない」と
不満そうだった。

3週目、スポーツ新聞に逆戻り。
モノカラーゆうたのに~とおおげさに落胆してみせたら「私は日本語がわからないから」とうれしそう。
あれ?ちょっとなんか、わざとやってへん?と疑わしくなった。
と同時に「次は何で来る気やろ?」とちょっと楽しみに。

4週目、もうすぐ退院ですと伝えたら、「じゃあ、これが最後の新聞になるね」と
差し出されたそれは、とってもカラフルな紙面だった。
も~またスポーツ新聞か?!

開いてみたら、つり速やった。(釣り速報)

ものの見事にまっっったく、読むところがなかった。
けど、まさかスポーツ新聞を超えてくるなんて、ありえへんとバカ笑いしてしまった。
いまだにあれは、ネタやったんか、天然ボケやったんかは謎。

ただ、先生はたぶん、入院をきっかけに教室を止めてほしくなかったから
そんな手間を掛けてくれたんやと思う。
そういうことがきっかけで止めて行くクラスメイトが居たし、そういう生徒は
ある日突然無断で教室に来なくなった。
おまけに電話連絡したら、まるでキャッチの電話のように無言で切るんやって。
あんなに仲良かったのに突然。

そんなところに言葉の壁が立ち塞がるのだと知った。
そういう理由があっても、あるいは単に面倒くさくなっただけでも、
同じ日本の教室には退会理由を説明したり、言い訳をしたりするよね、普通に。
それを不慣れな英語に翻訳して伝えねばならなくなった時、日本人はあっさり口をつぐむのだ。
「面倒くさくなった」という理由ならなおさら、英語で言い訳を考えねばならないという苦痛は
とんでもなく面倒くさかろうと察するに余りある。
へたくそな英語で嘘をつかなならん状況から、人は簡単に逃げてしまう。
無駄なプライドがその恥に耐えられないのだ。
たかが「面倒くささに」負ける自分を誤魔化すためなら、
相手がどんなに傷つくか、なんて考えなくても平気なんて、日本の恥や。

それだけはすまいと、私は英和辞典もない病床から先生に電話を入れた。
「アイ カント ゴー、アイム イン ホスピタル、マイボディ ブレイク」みたいな
乱雑な言葉しか浮かばず、「ファットハプン?!ア・ア・アイカント アンダスターンド!」と
先生を無駄に心配させてしもたけどな(苦)。

欠席の連絡を入れるという普通のことをしただけで、こんな面白いことが
起こったりするねんから、大事にしといた方がお得なのよ”普通”って。

追記:ああ、これって「信長協奏曲」ツネちゃん。偽者と知らされたことで、
あっさり三郎信長を信じられなくなったツネちゃんと、先生を外人として排除した
恩知らずの生徒は同じ。
なんでそれだけのことで、積み重ねてきた時間を、自分が見て感じた相手の人となりを
忘れてしまえるのかが私には不思議。
軍師半兵衛よ、秀吉の策略に追いついて追い越して、ツネちゃんの目を覚まさしてよね!
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