数奇にして模型

http://www.fujitv.co.jp/F/story/index08.html

黒蜥蜴～！
「黒蜥蜴」といえば美輪さんですが、私の初見は土曜ワイドの天知茂。

ここで思い出すなよ！って感じなのですが、
祖父からのプレゼントがねーこういう怖さを醸しだしてたのよ…


日本人形をおねだりした私に二つ返事で「まかしとけ！」やった祖父。
しばらくして「お店から送ってもらったから」と連絡があり、幼なじみと
「楽しみやね～来たら一緒に遊ぼうね！」って話してた。

さて、届いたものは。
これ…めちゃくちゃ高いんちゃうのん…てええお顔をしたお人形さんやった。
銘が入ってて、生きてるみたいに美しくてかわいらしいお顔。
指先にはうっすら桜色の爪に見立てた着色も施してありました。

ただ…見過ごしようのない予想外の大問題が。

サイズが３～4歳児くらいあったんです。
実際当時3歳児やった弟と並ばせてみたら「背丈ほぼ変わらんな…」
まるで人一人が送り付けられて来たかのよう。
おじーちゃん、何考えてんの？！
ちゃんとお人形さん遊びに使う抱き人形って伝えたのに。
お母さんが子供の頃使ってたやつやで、って。
こわいーこわいよー

「お礼の電話しなさい」と言われ、お礼は言ったけど、祖父に聞かずに居られなかった。
「…あのぅ…なんであんなんにしたん…？」
祖父はうれしそうに「あんまりお前に似てたから」とカツゼツ良く言った。
どこがや。
全然似てへんのに、おじーちゃんボケてしもたんやろか？
これはもう、二度とおねだりしたらアカンわ、と決意しました。

後日幼なじみに「そういえば人形来た？」と聞かれ、忘れてくれてたら良かったのにと思いつつ
「見に来る…？」と答えたら、姉妹はおままごとするつもりで人形を持って来てしもてさー
もー針のムシロやったよ…並べて見るとギャップが凄過ぎて。
「…おっきいね」「きれいな顔してる」とふたりは気を遣いつつ、やっぱり、
「でも、こわいな」「これでは遊ばれへんな」そやねん～～～でした。

最近３～４歳頃の女の子って、ほぼああいう形をしてるもんなんやなと気付いて、
祖父にとっての、記憶に焼きついている”完璧な形”はあれやったのかもなと思えてきました。
祖父もあの日のことを覚えていたのかも知れない。
そして、あれを選んだもうひとつの理由も。
「遊べないから」。手を触れずに飾って置くしかない物なら、私が大人になっても残る可能性が高いとか考えてたのかも知れない。
その時祖父は80歳超えてたしなーと思うと切ない話である。