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封印がとけた【怪異編】

客観的事実だけを綴った先の「封印がとけた」ではあるが、
ほんまのところ、幼稚園児の目に映った事態は『怪談』でした。
「重力」なんて知識あるわけないしー。

こっちが主観。お恥ずかしい…[あせあせ(飛び散る汗)]


大入道.gif
イメージはやっぱり水木しげる

天井になったドアを開けようとした時、いつも通りロックを解除して押したのに、
やたら重いし、手を離したらバンッと閉じられてしまった。
それを見た時、芯からゾッとした。
「誰か居る、誰かがドアを閉めた!」
思わず「開けて!」とささやいたけど、返事はなし(当然)。
「話しが通じないー!閉じ込めて爆死させる気なんや…!」
子供にそんな酷い事をするのは人であるはずがない。
相手は絶対化けもんや。

これが私のヒーロー魂に火を点けた。

「やられてたまるかぁー!!言葉が通じんなら力で勝つ!」
さすが子供、単純ゆえに決断速い。価値観は勧善懲悪。
暗くて見えないが、邪悪な力で上から押さえ付けながら笑う化けもんのビジョンが、
ドア全開に達するまでの火事場の馬鹿力を出させた。
そんだけ本気で怖かった。

そして、呆然と見ていただけの父に怒ったのは、
ドアを押さえ付けてた奴の姿を見ていたのだと確信したから。
やっぱり、動けなくなるほど恐ろしい化けもんが居たんや!
だから怖気づいたんや、と解釈したのだった。
私は戦って勝ったのに。子供でも勝てる相手やったのに…!

さらに、私の災難を目の前にして、父は微笑んだ。
人の不幸を見て笑うのは悪もんのすることやーーーーー!
父は悪の手先?化けもんの仲間なんやろうか?と絶望した。
(育児中の友人から「泣かれたら困るから、笑ってみたんでは?」
との思い遣りを頂いたが、こんな過激な体験の後は存分に泣かせてやって、
ストレスを解消させたった方がええと思う。てか、泣かせて欲しかったよ)

しばらくして父に問うてみた。
「あの時…何かおったやろ?」ドキドキ
「何かって?何も見てへんぞ」
「…ふうん」
私は深追いしなかった。
化けもんの姿がどんなんやったか知りたかったけど、それを口にしたら、
父は化けもんに命を取られてしまう約束なのだろうと察したからだ。
(この辺「雪女」とかの影響受けまくり)
だから父は化けもんの存在を隠したのだと思った。
命に関わることなら仕方がない。

その後も何かの折に「お父さんはお化けや妖怪が怖くないん?」
と兄弟で問うたことがあるが、必ず父は、
「この世にお化けも妖怪もおらん。お父さんは見たことがない。
もし怖いもんがあるとしたら、お父さんは『人間』が一番怖い」と答えた。
大人が聞いたら「深いですね。さすがですね」って回答なのだが、
子供には…ねえ?
しかも私に、そんなん言うたらあきませんでした。
「あの時化けもんを見たくせに、隠してる。やっぱり化けもんをかばってる。
しかも人間が怖いやなんて、もうどっぷり化けもんの仲間なんや、この人は!」
と信じ込み、嘆いたのだった。

『死』がどんなものかなんて考えた事もなかったくせに、
「なんか絶対起こっちゃいけない大変な事」というざっくりしたイメージだけで、
全力で死から遠ざかろうとしてたあの頃。
だからこそ、これっぽっちも化けもんの存在を疑ってなかった。
父が私を助けなかった理由は「私だったから」という嫌な答えを避けるためにも。

「自分は死んでも惜しくない子供なんだ」と認めたら生きて行けないと思っていた。
化けもんに居て欲しかったのは、私です。
駆除されないよう怪物を隠すために。
車から脱出出来たのも、勘違いしたまま父を深く恨まずにやり過ごせたのも、
全部化けもんさんのお陰です。助けてくれて本当にありがとう。
長いことずっと悪役を押し付けたまんま、忘れてしまっててごめんなさい。

そやけどお父さん、化けもんのおらんとこには神さんも仏さんもおらんから
面白ないってこと、自分がなってみて、よう分かったやろ?
化けて出て来んのん、早かったもんなあ!
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おーちゃん

話を聞けば、聞くほど、、、幼いカリコは、純粋やってんなぁ~と
実感してしまうわぁ~。

私なら・・・「この人、ほんまに私と血の繋がった親なん?」って
即効そっち方向へ行ってたな(笑)まごうことなく!

けど、お父上が化けもん完全否定とは、意外やね?
化け防止のためにも、供養というものがあるのでは?
と思ってしまった(笑)

つーか、自分も?出てきて初めてその存在を知ったとか?(笑)
by おーちゃん (2012-01-17 05:45) 

カリコ

ほんまおーちゃん、優しい~~~~~ぶっちゃけ「妖怪オタク」やがな。
まあ定期的に怪談物の落語聞いて育ったようなもんやし、そうなる?
生身の人間が話してくれる物語って、すごい想像力が付くし、記憶力も鍛えられるんやな。読み聞かせ、要チェックやで。

実はお釈迦さんは霊魂の存在を否定も肯定もしてへんねん。
その存在を問われても「その質問には答えません。そんなこと議論する暇があったら、人を助けに行くべきや」言わはったらしい。
お釈迦さん、忙しかったんやろなー(苦)
それを宗派ごと個人ごとに、否定したと解釈したり、どっちでもええっちゅーことやん?て解釈してるらしいよ。
化け防止の供養は元々仏教にはなくて、日本の風習を受け容れたもんみたいやな(仏教はメイド・イン・インディア)。

釈迦も父親も、自分の経験しか信じひん男やったんやろ?!(笑)

by カリコ (2012-01-17 23:29) 

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