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別品さん [舞台]

http://www.parco-play.com/web/play/sotobakomachi/

再演は上等である証。別品というべき?
私が15年前に初めて美輪さんの舞台を拝見したの、この演目でした。

自分も15年の時を重ねて、同じ作品の解釈が昔と変わった時、
それが深く、美しく変わったことがとても嬉しかった。

それは自分の変化だけではなく、美輪さんが恐らく初演と同等の情熱を持ったまま、
そう届くように演出をよりやさしさに満ちたものにブラッシュアップしはった結果であり、
そんな再演を観さしてもらえるゆうことは、とても幸せで、そんだけでも、
初見から15年生きてきた甲斐があった。←言い切った!


15年経ってやっと、美輪さんが時流に寄り添いながら褪せたかのように、
倦んだかのごとく、汚れ切ったかのような姿の小町を演じ続けながら、
褪せず、倦まず、穢れずに歩んできはったことに思い至った。

私初見では結構笑ったはず。恋は盲目やな!とか、焦る小町の様子に。
「美しいと言わないで!」という懇願は、恋の終わりを先延ばしにしたいから?
とか思ったはず。ああっ…若かったな~15年分。

きっと「美しい星」を読んで「なんで?」と思ってずーんと落ち込んだ後に、
「花戦さ」を読んだ影響が出まくってると思うのですが、

美しい星 (新潮文庫)


花戦さ (角川文庫)

三島由紀夫が千利休に、美輪さんが池坊専好に重なって見えたのでした。

この人は大切な人を奪われた悔しさを美に託して、こんなにも長く戦ってきはったんや。
今も変わらず友を想い、供に生きることで生かし続けてはる。

と、文字にするとセンチメンタル過ぎてしまいそうなことやけど、
ほんまに、今の美輪さんなら純潔すぎた三島を難なくいい方向に導けたやろし、
時を重ねた今の美輪さんと会わずに人生を終えた三島は大損したな!と言ってやる。
三島の影響があって今の美輪さんが在ることは、まごうことなき偉業ですけども、
ほんでも、美輪さんを悲しませやがってアホー!って気持ちが湧き上がる観劇でした。

逆説の逆説が演じられてきた舞台ですが、時代に合わせて今回更なる逆説が立ち上がったのではありませんかね。
死が直前に迫って、輝かしい過去も未来も持たない哀れな詩人の残り時間をフルに使って、
老婆は小野小町になりすますことで、詩人を深草少将に生まれ変わらせて、
この世で最上のものと謳われる”恋”の渦中で逝かせてやった、のでは。
マザーテレサのように慈愛に満ちたもののけ様は、やさしい夢を見さしてくれる。

”美しい”がNGワードなら、べっぴんさんならええ(死を免れる)?
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