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紙の月 [映画]

予習になるかしらん?とBSで。
兄さんが出席したアカデミー賞で最優秀支援女優賞やったよね。

紙の月 Blu-ray スタンダード・エディション


ちょっとちょっと、アカンてー!いややー怖いー!と胃が痛くなった。
すごい華やかに明るい音楽で美しく撮られた豪遊のシーンも、
どんどんあか抜けて綺麗になってくりえちゃんも、悲しくて怖くて、
自転車で疾走する姿に、あーまさに自転車操業?とどんより。
無理、小心者の私にはこんな暮らし続けられへんし、楽しまれへんわ。
と、見ててすごくしんどかったんですが、ガラスが割れるシーンは衝撃で、
理屈抜きに爽快だった。説明つかん。
これ、吉田マジック?「美しい星」が楽しみ。

あれこそが、りかさんが本当にしたいことをやった瞬間やったからかな。
結局したかったのって、それだけやったんとちゃうやろか。
そうか、あれは、解決はせんけど気が済んだ瞬間やった。

でも時間を置いて物語が浸透してきたら、あれって、お金の入るところが変わっただけで、
普段通りの日常業務に恋人とのデートが加わった生活にグレードアップした状態!と
ゾッとした。だから生活にハリややりがいが生まれてどこまでも続けられた…?
しかも、そもそものベースは「可愛そうな子供に愛の手を」ってボランティア精神やから、
「私にしか出来ない仕事をやっている」と誇らしく言えたのか。
犯罪やん!って嫌な気持ちで見てたけど、実務は無駄にええ仕事やった。
もったいない…有能な職業人やったのに。
でも社会にその能力は正当に評価されてなくて、そりゃあ復讐のために横領かて
したくもなるでー?な背景もしっかり映ってました。


ほんで昔一度だけ周りが退くほどホストのTくんと口論になったことを思い出してしまいました。
ある日お店に行ったらなんか嫌な空気が流れてて、お店の子が「久々の黒T降臨やった」と笑ってた。

勘助に訊いたらなんと女性客の一人をTくんが「破門」の桑原ばりにボッコボコにして叩き出した直後ですと?!
女性になんてことを!![がく~(落胆した顔)]
ショック過ぎて、「なんで?Tくんらしくない」と訊いてしまい口論に。
直前に暴力振るった人に訊いていいことではないと、その頃の私は全然解ってなかった。
Tくんは「そうするしかなかったんや」。
言うなれば、その女性は「紙の月」のりかさん状態やったらしい。
Tくんが好きで、会いたくて止められなくて、どうにもならないところまで。
(その時点でホステスだったその女性は形に嵌められ新宿スワン行きが決まっていたという。)
そういうお金や色恋の怖さというものを私は理解出来てなかった。
今でもなんとなく説得とかが通じない狂気「らしい」くらいの認識でしかないので、
当時は「大好きなTくんが説得すれば通じたはず」とか言ってしまった…どあほや。
「だって、その人はTくんが好きなんやで。好きな人にそんなことされるて、
そんな酷いことありえへん!」なんてことを言い放ちましたわ。何の疑いもなく。ああ恐ろしい。

そしたら、ぐっと詰まった後すっとTくんは穏やかになり、
「お前はそんな目に絶対遭わせへんから」と聞き覚えのあるセリフを言った。
(Tくんのツレが辛い目に遭った話をしてた時「俺がそこに居たらそんな目に遭わせなかったのに」
と憤っていたことがある。)
「当たり前や!私は絶対そんな(借金してまで貢ぐ)ことせえへんし!」
その直後に勘助が私に覆い被さるように割って入って、「そうやで、Tくんはカリちゃんをそんな目に
遭わせへん。絶対そんな目に遭わせへんねんから、もうええやんか」と私に言い含め、
周りも「そうや、そうやで、すごく大事にされてるねんから」と囲みに加わったので、
「あ、私が殴られると心配したんや」と気付いた。
Tくんは店を出て「あーちくしょう!」とゴミ箱か何かを蹴ってました。
戻った彼は確か「お前はそれでいい」だか「そのまんまでいろ」みたいなことを
笑顔で言って終わらせた。凄腕ホストや~。
だが、今は分かる。彼は勘助たちが割り込む前に自分で踏みとどまっていた。
私の言ったことは、そのまま彼女の口から聞きたい言葉だったのだと。

黙って吸い尽くして破綻に追い込む輩はごまんと居るやろうに、劇薬のような手法で
完全に店から締め出した彼は、なんて情の深いホストやったんやろうと今更思う。
自発的に「二度と会いたくない!」と選択出来るよう、酷い目に遭わせたのだ。
依存という狂気を凌駕する恐怖を与えるしかないと考えたんでしょうね。
きっと十分時間を掛けて、説得を続けた果ての決断やったはず。
そんなこと一番したくなかったのは、一番辛かったのは彼だった。
その上アホな私からの追い討ち![ふらふら]あの若さで、よくぞ我慢してくれたものよ。

そして、そんなに好きなら駄目にならないためにこそ死ぬ気で頑張って欲しかったと、
破門された女性に思う。
私は忘れて、分不相応な遊びは辞めただけ。
でもそれが、どんなに頑張っても難しい人が居る。

男は女と違って、自分に好意を寄せてくれる人にめっちゃ弱いしな。
好きなら細~く長~く年越しそばのようなお付き合いを心掛けるがよろし。
その望みが別れなら、永遠に捧げよう。
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