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12年に一度の申祭り―男たちの棲家―その1 [舞台]

今日は八千代座・熊本公演の千秋楽。
書くでぇ~~~

私は京都公演観て来ました。
やっぱり何度も観たいなぁという思いを駆り立てられるお土産話をいただいて、
汗ばむほど笑って、心は熊本。

何年か朗読劇が続いたTeam申公演でしたが、12年一回りして今年は演劇が帰ってきましたね。
そやった、12年前に始まったんでした。
12年で2匹やった申が3匹、大暴れでしたよ!

雅な元亀ちゃんの「娘道成寺」の舞いで始まった祭り。
なんという優雅さ可憐さ、指先にまで気の通った芸をこんな間近で観られる贅沢は
お祭りゆえの大盤振る舞い。
帯におもだか屋の紋やら帆立舟やらが刺繍されててこれまた贅沢眼福。
まさか、この雅な姿があれほど笑える有様に化けるとは。

長部さん脚本・演出「男たちの棲家」は舞台役者憧れの名作オマージュがちりばめられた傑作、
な作品でした。
少し伸びた佐々木の03の髪はよくパーマが当たって巻いてロミオ様風な白ブラウスに
白ベストのお衣装によく合ってました。イメージを裏切らないザ・舞台俳優「背の高い男」。
棒切れの剣で舞台である楽屋の床を這い回るルンバに決闘を挑んだり、ふざける気満々。
それを発見して常識的にたしなめたりする劇場の掃除夫の「若い男」を演じるのは、もちろん隆太。
このメンツではいつでもしっかりまとめ役を勤めてくれる隆太[黒ハート]
と、思ってたけど、他の作品でも実は大事なところをしっかり締める信頼できる男に成長してるわ、と
後から気付く。
あんなボロイ劇場やのに、セキュリティでロックが掛かって退出不可能になるのん?今って?
モメてるうちにタイムアップ、施錠完了。

そこへ着物を脱いで、カツラを外した浴衣姿の元亀ちゃんが唯一ロックのない舞台側の扉から登場。
ああ、お顔は雅な娘のまんまで、他が03(=オッサン)という姿がこんなにも笑えるもんやったなんて!
プログラムの「浴衣の男」だけでは想像つかん可笑しさやで?な歌舞伎役者。
「歌舞伎したいよーやろうよー」と03に突きつけて「やらない!」とそっぽ向かれた台本は
「空ヲ刻ム者」やった(笑)
トラウマになるほどキツイ1日2回公演やったんやろなぁ。けど元亀ちゃん今度は3回公演に
挑戦しはるんやろ?それってエヴェレスト無酸素登頂並みの偉業なんでは…[たらーっ(汗)]

原案の傑作「楽屋」は劇場に現れる女優の幽霊が悪口やらの女の業を繰り広げるようですが、
「男たちの棲家」であるこの楽屋の男優の幽霊たちは、ただただ憧れて、好きで芝居に憑かれて
間抜けな死を遂げた後(背の高い男は餅を喉に詰めて上演前日に急死。浴衣の男は雷に打たれて
これまた上演直前に無念の死を遂げた幽霊。)も好きで劇場の楽屋に憑いてしまったもんやから、
楽しむことしか考えていない。
しりとり始めたり、名作の一場面を次々演じたり、悪口に費やす時間を遊びに使ってる。
「金色夜叉」は傑作でしたね!楽屋にあった風呂敷マントに学生帽で03は貫一に扮し、
元亀ちゃんはなんと、楽屋の急須をバッグ持ちしただけでお宮に変身!
急須がバッグ!!そら取っ手似てるけど急須~おかし過ぎた。
それに負けじとアホアホな舌足らずでトチリをフォローされながら名台詞を絶叫して笑いを
かっさらう03!ああ、やっぱしホンマは、こういう役したがり欲しがり~。
11月17日なーんぼでも曇らしなはれ。代わりに12月14日晴らしてや?

ホンマそういうとこが、元亀ちゃんと組むと作品としてええ方向に出るわぁー。
たぶんね、ちょっと意外やった「かりんと事件」もこの組み合わせやから成立するのよ。
元亀ちゃんがかりんとの袋を床にぶちまけてまう演出があって、それを反省した様子で
「賞味期限切れても上手いもんは上手いよね」って落ちたやつを食べてまうのよ。
御曹司が三秒ルール無視して食べた![がく~(落胆した顔)]黙って隣で03も落ちたやつをぽりぽり食べた。ザ・友情。でも赤ちゃんは気にせず食べるよな。土が付いても美味いもんは美味い。
(熊本では勢い余って袋丸ごと客席に落としてしまい、そーっと舞台下を覗き込む二人に合わせて、
お客さんがそーっと拾ってそーっと舞台上に戻し、大爆笑が巻き起こったそうです!観たかった!)

舞台に未練を残した幽霊たちの馬鹿騒ぎ自体に意味はない。けど底が深い。

その馬鹿騒ぎの背後では、ロックのない舞台側のドアから脱出を図った若い男は
幽霊たちと全く違う景色をさまよっていたという。役者・佐藤隆太の見せ場!
同じ場所なのに全く違うと感じられる舞台上を。いや、客席に乱入して、客席を舞台に変えたのでした。
名優たちの怨霊を従えて。
平さんやら有川さん、市川段之さんなど女形さんが女優の声で勤められた友情出演の朗読は贅沢で、
リアルに劇場に沁み込んで居そうだった。

そして、BGMのサティは蜷川さんへのオマージュに思えました。
私が蜷川さんを初めて認識したのは劇中劇の演出家役で映画出演された映像で、
その演出にサティの曲が効果的に使われていた。
あれは蜷川さん御自身の演出やったのではという気がしてきた。
いくらでも見る機会はあったはずなのに、私が蜷川演出の舞台を見たのは一度だけ。
でも、私にとって観るべきものを観るべきときに観せていただけたと思っている。

ひとまず、ここまで!
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