ばんば憑き

軽い気持ちで読んで後悔した「お文の影」。
まるで子供のようにギャン泣き。
本を閉じて時間を置いても、ふとした拍子に「ううっ」と涙が込み上げて仕方なかった。




そこからだいぶと本を開く勇気が湧かなかったが、
意を決して、だーっとすっ飛ばして「野槌の墓」だけ読了。
…これなら大丈夫、楽しめる、とほっとした。

でも、どっちもきつい話や。

大人はみんな賢くて強くて優れた存在と信じて疑わなかった頃、
身近で起きた事件のニュースを見て、すがる思いで母に問うたことがある。
「ねえ、お母さんはそんなことせえへんよね？」と。
お母さんは何でも知ってる。お母さんに聞けば大丈夫。
きっつい質問をしてしまった。

母はとても真剣な表情で、
「おかしくなるほどの目に遭うたら、お母さんもおかしくならんで居られるか、わからへん…」

え～～～そんなぁ～

「そやからな、もしも万が一お母さんがおかしくなったら、殺されんように逃げてなっ！
お母さんに構わんと、すぐ逃げるんやで？」

…お…お母さーん…　　「え～…わかった…」としか返答できず。

その後、「ちょっと待て。弟らも連れて逃げなアカンやんか」とか、
「追いつかれたらどないしょう、お母さんを殴って気絶させなアカンの？」とか悩みまくったけど、
杞憂に終わった。
当時は期待してた言葉とはかけ離れていて、不安を煽られるばかりやったけど、
今は、母の「逃げろ」という指導は適切であったように思う。

「お文の影」は辛いけど、「なりたくない」大人の姿を教えてくれる。
頭ごなしに「自分はそんなことせえへんわ」とか「まさか私がする訳ない」の方が、危ないような気がする。
怖い、嫌や、そうなりたくない、という恐怖も抑止力になるのではないか？
知らなければ、怖がる事すら出来ない。
知りたくないけど、知っておくべき物語だと思う。

コメント 4

どんなに日頃温和な穏やかな人にも、何かのタイミングで、魔がさすような瞬間が訪れないとは言えないと思います。
「夜行観覧車」は、他人ごとではない・・・と、本当はみな多かれ少なかれ家族のことや、知人のこと、抱えながらなのかもしれません。
人生の中で、自分もあり得るのだという恐怖を感じたことがあります。
カリコさんのお母様・・・なんて正直な方なんでしょう。
そんな正直すぎるとそれを聞いた身内は衝撃だし、つらいことと思います。
自分の場合、今考えれば言わなくてもよかったようなバカ正直すぎることをやはり伝えたことがあります。
この子ならわかるのではないか、わかってほしいという甘えもあった気がします。嘘偽りのない本気の内容で
自分の場合は鬼になるということではなく別の仮定の話でしたが。
話は戻り、読んでいて、野槌はそんなことに使われて本当に気の毒だと呻きました。それでも全てのものには無駄は無しと思えば、それを昇華させるのは受け手の思いの持ちよう次第なのかもしれません。
過去に囚われることなく今を楽しんだもの勝ちで生きることで槌も今新たな命を生きることは可能なのだから。命は一瞬一瞬の今の中にあるのだから。（自分に言ってます。ははは）

by むーぽ (2013-04-11 23:15) 

まさしく「夜行観覧車」ですよね？
その瞬間に、止めてくれる人が居合わせているかいないか。

確かに衝撃でした(苦)＞母
けど正直に答える事で、加害者への非難やら批判やらを口にしなかったので、
慈悲深くも思えましたし、逃げるという選択肢はナイスやと思います。
そうですよね、野槌はひととき、ゆかいな仲間たちと楽しい月日を重ねたんですもんね。
命は今にしかなく、自分の力が及び得るのは、今という一瞬だけということですね？お姉さま！m(__)m

先ほど関西でも「お天気お姉さん」始まりました～♪
すごい嬉しそうに「やらしい♪やらしい♪」言うてる～三雲センセ！
by カリコ (2013-04-13 00:47) 

おやぁ～娘に確認しちゃいましたぁ～(＠_＠;)
関西での放送時間…違うんですねっ！？びっくり～～～！
予想以上に檀蜜の密着度高し(＠_＠;)(＠_＠;)(＠_＠;)
じぇらってますからっ！(T_T)
話は書き忘れたんで戻るんですけど・・・カリコさん
さすが、カリコさんのお母様だわ～思いました。
正直で、的を射ている。さすがです。逃げる・・・いいなぁ。
自分は、人生の中で気づいたことのひとつに「絶対ありえない」ってことはない・・ということ。
簡単に使われる言葉なんですけど、その言葉使うと逆に、「起きる」矛盾を
なんだか察知しましたです。言葉に力があるような気がします。
何が言いたいかというと、だから起きないことはない！という態度は大事だと。ややこしや～。
by むーぽ (2013-04-13 01:53) 

地震見舞いの電話で盛り上がって、こんな時間にこんばんは。

そーなんです、放送時間だいぶ遅いんです、関西。
やから、今度は逆にリアルタイムで見られへん可能性が高まってくる(笑)

寝たふりの背中見て、あ～やっぱ男の人の背中は長いなーと
思うてまう私に色気なし(苦)
檀蜜さん、私はお写真とかの方がもっともっと色気が出る人なんやろなと感じました。
こう…なんか「お仕事お仕事！」と念じながらやってはる感じがして、真面目な人っぽい気が…(笑)←勝手に

母は死体なみに正直ですんで(笑)、私は嘘つき目指さんなと思うてます(笑)
普段はお嬢さん然とした母なもので、あれは奇跡の一矢でした。
実行可能なんかどうかは？？？ですけど、「逃げる」はええですよね。

「絶対ありえない」って言葉、私どないしても原発事故が思い浮かびます。
事故が起きるずっと前に、友人が仕事のからみで見学会に参加した時、
災害時の対策への質問には全て「絶対ありえませんから、考えなくていいです」
で押し切られて感じ悪かったと言うてました。
ほんまに、その言葉が引き寄せたような現状ですよね。

ちなみに私、テンションが上がる場所では、いつでも「何が起こってもおかしないで！（何が起きても楽しみ）」という態度です(笑)

by カリコ (2013-04-14 01:52)